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真面目で、理屈っぽくて、おっちょこちょい。そんな典子は母に勧められて、お茶を習うことになった。二十歳の春だった。それから二十四年。就職の挫折、失恋、大切な人との別れ。いつも側にはお茶があった。五感を使って、全身で、その瞬間を味わった。やがて「日日是好日」という言葉をかみしめていく美しき時の流れ。この映画は、内なる自由と生きる喜び、そして、かけがえのない“今”を描く物語である。 主人公、典子を演じるのは黒木華。第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞した『小さいおうち』(14)での卓越した演技力、主演作『リップヴァンウィンクルの花嫁』(16)で魅せた喪失と輝き。再び、女優、黒木華の凄みを存分に味わえる映画が誕生した。監督・脚本は大森立嗣。第35回モスクワ映画祭審査員特別賞を受賞した『さよなら渓谷』(13)に代表されるハードボイルドな作品が多い大森監督にとって、新境地ともいえる今作。初タッグとなるこの二人によって描き出される時の流れは、美しく、そして儚い。原作は人気エッセイスト、森下典子が茶道教室に通う日々を綴ったロングセラー。瑞々しく描かれる心象風景や青春像、そして「お茶」がもたらす人生訓的な“気づき”の数々は、茶道経験者の枠を越え、様々な岐路に立つ読者にとって心の拠り所となっている。  典子のお茶の師匠となる武田先生を演じるのは、『モリのいる場所』(18)、『万引き家族』(18)と公開作が続く樹木希林。「習い事の先生」という枠を大きく超えた人生の師匠として、大きな包容力で典子たちを導いていく。初共演となる黒木華と樹木希林の役柄が生徒と先生という関係であることも、日本映画界においては注目のコラボレーションとなる。典子のいとこで、共に茶道教室に通い始める美智子を演じるのは多部未華子。映画、ドラマ、演劇と活躍の場を広げる演技巧者の多部未華子が、お茶室に飾られる一輪の花のように映画に彩りを与え、静かな物語に躍動感を与える。それぞれの考え方で生きる道に悩む、典子と美智子の青春群像のほろ苦さや甘酸っぱさは、『まほろ駅前多田便利軒』(11)や『セトウツミ』(17)などのバディ映画の演出に長けた大森監督の真骨頂である。また、自身も茶道経験者である鶴田真由が演じる雪野役の、凛とした佇まいと緊張走る存在感。そして鶴見辰吾が演じる典子の父役は、見る者全ての父となり得る程の温かさをかもし出す。近年の鶴見辰吾における代表作と言っても過言ではないだろう。 本作のもう一人の主役とも言える「茶室」のロケーションセットは『舟を編む』(13)、『バンクーバーの朝日』(14)など数多くの逸品を手掛けてきた美術技師の原田満生と、『深夜食堂』(15)のセットデザインを手掛けた堀明元紀の師弟コンビによって生まれた。『写楽』(95)、『ALWAYS 三丁目の夕陽』(05)で二度の日本アカデミー賞最優秀照明賞を受賞した水野研一が編み出す季節の光と、『光』(17)でも大森監督と組んだカメラマン、槙憲治のレンズが「静」の世界である茶室を生き生きと、瑞々しく写し出していく。今や映画音楽に欠かせない存在となった世武裕子が大森監督作品に初参加。大森映画に新たな音楽を奏でる。また、原作の森下典子が自ら、茶道関連のアドバイザーとして全面的に撮影に参加した。